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【台湾】民進党が政権を失った理由(その2)
民進党が政権を失った理由

■民進党選挙三連敗の根本理由

 二〇〇八年一月の台湾の国会議員選挙にあたる立法院議員選挙に続いて三月の総統選挙に日本の関心も高く、日本のマスメディアにも選挙予測から選挙情況、そして結果についての分析などなどが見られる。
 結果的には、それは二〇〇六年の台湾地方選挙に続き民進党の二〇〇〇年政権党になってからの三連敗となる。国民党が政権を失ってから八年目、ついに完全復活を遂げたということになる。それは地方の各県市には優勢を占め、国会にも三分の二という絶対優勢を確保した。台湾は総統制だから総統は大権を牛耳り、行政機構には約七〇〇〇人のトップ人事権を持つので、民進党時代の陳水扁総統と全く違うのは、数十万人にも上る行政機構の役人官僚は、陳総統はトップ人事しか交代できなかったのに対し、馬総統になると、すべての行政と立法は国民党が牛耳ることになるので、実質的には、戦後半世紀以上にわたる国民党による党、即ち国という「党国体制」の復活、そして経済的には「国庫通党庫」の復活となる。台湾は名ばかりの議会民主制という「政体」でありながらも、事実的には独裁体制が復活したということになったのは、台湾の政治的文化とその構造から知識として知るべきだ。
 ではなぜ、民進党は二期目の政権から急速に民衆からの求心力を失い、選挙で三連敗してしまったのだろうか。日本の世論では汚職・経済の不振・民心を失った、あるいは「台湾の政治がまた進化した」(朝日新聞)と様々な論評があったが、確かにそれもあろう。しかし決して正確ではない。選挙が大敗したのは、それなりに最も語られていない根本的な理由がある。
 私も四十数年来、台湾の政治・文化にかかわる一人の関係者として、私なりに異なる見方がある。
 台湾は経済的には決して小国ではないにしても主権独立国家としては、「台湾・中国は特殊の国と国との関係」あるいは「一辺一国」という自己主張があっても、国際的には、完全に認知されてはいない。国交関係を持つのは二〇〇カ国前後の中で二〇数カ国にすぎなかった。だから主権独立国家としての認知が確立されていない以上、国際政治のうえではなおも地位が不安定、いまでも米中から巨大な影響を受け続けていることはいうまでもない。だが、米中の対台湾の影響力、あるいは圧力はまったく逆である。中国は台湾に対して従来通りの恫喝戦略を続けてきた。そのため、台湾の住民が反発し、逆効果となって、中国が最もいやがる李登輝と陳水扁が総統に当選するという結果になった。中国が、その学習効果から武力恫喝を放棄して、傍観の戦略をとったことが国民党復活の遠因の一つにもなった。
 中国とはまったく違ってアメリカは台湾に対して、「国家存亡」から「個人の権益」に至るまで絶対的な影響力を持っているので、表面的には「内政不干渉」でありながらも、アメリカ政府の一言一句だけでも選挙に絶対的な影響力を持っている。アメリカ政府はむしろ「親米」とみなされる国民党を支持し、勝敗を左右した見えない手である。
 日本は安保上に限らずあらゆる分野で、台湾とは一蓮托生の関係にあるので、識者のみ台湾に対する関心は強いものの、日本政府は、台湾に対しては、米中の顔色をうかがいながら、あるいは中国政府から現場指導を受けているので、台湾への影響力は微少
 米中の外からの影響力や国際的な時潮などの外からの影響力は別として、台湾内部の力学構造から見て、半世紀以上にわたる国民党の「国党体制」はあらゆる資源を独占し、かりに一時的に権力を失っても、その底力は依然として存在している。それは台湾に限らず、ソ連・東欧の杜会主義体制崩壊後には旧社会主義国家の新しい民主主義体制も同じく長期政権を保つことができずに「アンシャンレジム」(王制復古)的体制が見られたという現象は台湾だけでなく、避けられないことなのだ。
 国民党政権は、二〇〇〇年の選挙失敗後に、台湾戦後初めての政権交代後にも、国民党の勢力は温存している。それは軍隊・警察・公務・教育・特務・情報・マスメディアに限らずすべての地方組織から民間団体に至るまで半世紀以来のあらゆる政治支配に必要な資源は牛耳られているので、民進党政権はやはり中華民国体制の守り神として「看守内閣」のようなものになったのだ。ことに世界一金持ちの政党といわれる国民党は、台湾総督府時代の日本の遺産を接収した後、いわゆる「国庫通党庫」という国家財政を牛耳りながら党資産にかえていく、豊かな財源と利権まみれの統治体制を維持してきたのである。最近になってから陳水扁政権はやっと本腰を入れ、不正、不法手段による党産返還の追及運動を進めたものの、不発に終わった。一時六兆元もあったとうわさされる党産はいまや二五〇億元前後しか残っていないとも言われている。党資産が一億元しかなかった民進党は太刀打ちできない。ことに金権選挙の体質を持つ台湾ではなおさらである。
 かつて二年前に台湾の選挙事情に詳しい、中山大学の陳茂雄教授の政治分析を聞いたことがある。国民党が分裂しないかぎり、民進党が選挙に勝つ可能性は絶対あり得ない、今後五〇年後でも、あり得ないという。民進党が選挙に勝ったのは、国民党の内紛からである。新党が国民党から飛び出し、その後、親民党、台連と続く。だからこそ、民進党が政権を取れた。以来、地方の有力政治家はこぞって中央政界に入り、地方には有力な政治人材はいなくなってしまった。ましてや台湾の選挙は地方の支持母体であるいわゆる「柱仔脚[チャウアーカア]」を捨てて後継者も育てず、バトンタッチもできない。この状態では、これからの選挙は必敗であると分析していた。まさしくその通りだった。
 全米台湾人教授会元会長の謬述宗博士は八○年代の台湾選挙の観察から、国民党の選挙の得票率の数学的公式を算出している。つまり(45/R)×100という公式である。Rは総投票数である。投票率が高くなると、国民党は負ける。一方ここ二〇年近くの選挙を見て大敗も大勝も民進党の得票率はほとんど変わりなく、四〇%前後で上下している。
 近年、民進党の三連敗の敗因は政権党になっても、それほどの政権党としての作為はできなかった。政治腐敗と指摘されても国民党時代とはまったく質的には異なる。経済不振で負けたという指摘もそれは世界的な不況と格差の拡大という世界的市場経済の趨勢である。国民党だけが神通力があって、どうこうできるものではない。民意民心からすれば政権交代で次の新しい政権にやってみてもらいたいという期待もあろう。
 それよりも民進党政権は、国民党が牛耳る特務情報機構とマスメディア、司法という三位一体の伝統兵器の猛攻によって魅力を失ったというのが最大の敗因と私は見たのだ。


『台湾は中国の領土になったことは一度もない』 黄文雄著

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author:玉置 麗華, category:[台灣]ニュース, 23:44
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